執筆者/M.T.
はじめに
はじめまして。ORENDA第二制作課デザイン部で3DデザイナーをやらせていただいているM.T.です。主にキャラクターモデリング、たまにUnity上でのセットアップ、ルック調整等を担当しております。
今回弊社で新しく技術ブログを始めるということで、久しぶりに執筆作業をさせていただきます。
今回はテクスチャ作成時に役に立つPhotoshopの機能やTipsをいくつか紹介できればと思います。
Photoshopというソフトはできることが非常に多いので、今回紹介する方法以外にもいろいろなやり方があると思います。また、案件や仕様、目標とする表現によっても、近道は変わってくると思います。
今回紹介できた知識が、皆様にとって新しいものであったり、創作のヒントとなったり、どこかで役立ってもらえれば幸甚です。
この記事の内容
今回はこれらの機能を紹介いたします。
1. ブラシを使う
2. ヒストリーブラシを使う
3.スナップショットを使う
4.レイヤーカンプを使う
実践してみよう
1.ブラシを使う
まず、基本のブラシ設定とショートカットです。テクスチャ作成時、もっともよく使用するツールの1つと思いますが、SAIやClipStudio等、別ソフトになれている方だと詳しくないこともあると思いますので、<図1>に簡単な設定やショートカットをあらためてまとめてみました。
図1
また、ブラシ選択中にAltキーを押すことで一時的にスポイトツールに変更できます。
さらにキーボードの“<”“>”を使用することで選択中のプリセットブラシを変更できます。
さらに、Photoshop2020の最新バージョンでは、”→””←”(矢印キーの左右)でブラシの回転も行えます。
これらの機能を使用することで、できるだけペンタブから手をはなさずテクスチャ作成に集中できます。
2.ヒストリーブラシ使う
ブラシの流れで、ヒストリーブラシについて解説します。Adobeのホームページにもヒストリーブラシを使用した写真編集のチュートリアルが掲載されていますが、ヒストリーブラシはテクスチャ作成にも有用です。今回はテクスチャ作成時の使用方法の1つを紹介します。
業務でよくあるパターンを1つ。<図2>
図2
図2のようなレイヤー構成のテクスチャ編集を考えてみます。
影部分の調整を通常の消しゴムツール、ブラシツールを使用すると、左右に入っているグラデーションが崩れてしまいます。<図3>
図3
このような調整時にヒストリーブラシが有用です。
まず、図2の状態でヒストリーを記録します。<図4>
図4
この状態でレイヤーマスクに加筆しても、ヒストリーブラシを使用すれば、グラデーションを崩すことなく加筆部分の調整が可能です。<図5><図6>
図5
図6
今回は簡易な画像で説明しましたが、衣装のシワや、髪の陰影調整に私はよく使っております。もし機会があれば使ってみてください。
3.スナップショットを使う
こちらは頻繁に使用する機能ではないのですが、たまに役立つので紹介いたします。
<図7>
図7
初期設定であれば、図7の緑部分をクリックすると画像を開いた状態まで戻ることができます。この機能はスナップショットというもので、画像を開いた時点でスナップショットも作られます。このスナップショットは、ヒストリー上で右クリックすることで複数作ることが可能です。<図8><図9>別名保存するほどではないけど、ヒストリー上にバックアップを残したい、というときに使ってみてください。私個人は別名保存推奨ですが、この機能もたまに使用しています。
図8
図9
4.レイヤーカンプを使う
次はレイヤーカンプの紹介です。こちらはキャラクターのデザイン画等を保存したPSDファイルでは是非使用してみてほしい機能です。まずレイヤーカンプを表示します。ウィンドウ→レイヤーカンプを選択します。<図10>
図10
レイヤーカンプはレイヤーの表示状態や位置を記録する機能です。この機能を使用することで、キャラクターの表情差分や、デザイン差分の確認がしやすくなります。キャラクターのデザイン画が複雑になってきたり、服の下までデザインされていたりすると、レイヤーの表示・非表示切替だけでは大変になります。場合によっては、現状のレイヤー表示状態が正しいかわからなくなることもあります。そのような場合ファイルを分けるよりレイヤーカンプでデザインパターンを切り替えられるようにしてあると、後工程の人間としてはとてもありがたいです。<図11>
図11
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回紹介した機能は、前職も含めて頻繁に使っていたものから、非常に限定的な要望時のみ活躍したものもあります。Photoshopは色々な機能があり、非常におもしろいソフトだと思います。今後も機会があれば、なにかお役に立てるような情報を伝えていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。