執筆者/T.M
はじめに
前回、Pencil+4 for MAYAの基本的な使い方と、弊社でのマテリアル設定のやり方をご紹介させていただきました。今回はPencil+の本領とも言える、ライン設定に関してご説明させていただきます。
Pencil+はラインの色、サイズ、入り抜き、出方などを非常に細かく設定をすることができますので、手描き風でありながら、本来の手描きアニメではできないような表現方法も可能です。
※Pencilラインの色、サイズ等を細かく設定した例
この記事の内容
1. 基本の設定部分
2. ラインを出す箇所の調整
3. 便利な機能
4.まとめ
1.基本の設定部分
ラインセットを作成し、ラインが出るようにしたら、まず色とサイズを確認しましょう。
次に入り抜きを設定し、ラインを手書き風にしましょう。
ラインのアトリビュートを開き、「ブラシ詳細設定」をクリック。
詳細設定に入ったら、下の方にある「ストロークサイズ減衰」の「有効」にチェックを入れます。これでラインに強弱がつくようになります。
下のベジェ曲線で入り抜き具合を変更することができます。上にラインのプレビューが表示されますので、良い具合に調整しましょう。
2.ラインを出す部分の調整
次に、ラインを出したい部分、出したくない部分の調整をします。
ラインのアトリビュートの「エッジ」の項目を表示させます。
デフォルトだと全ての項目のチェックがONになっていますが、OFFにすればその部分のラインは出なくなります。
アウトライン:オブジェクトの輪郭線
オブジェクト:オブジェクトとオブジェクトの境界線
交差 :ポリゴンが交差している部分の境界線
スムージング境界:ハードエッジに設定しているエッジライン
マテリアルID境界:違うマテリアルがアサインされているフェース同士の境界線
選択エッジ :選択セットに登録したエッジライン
また、各項目の「個別のブラシ設定」にチェックを入れれば、全体のライン設定とは別に、個別にラインのサイズや色、入り抜きなどを設定することができます。
特定のエッジだけラインを出したくない場合は、「サイズマップ」を使用することで、ラインが出る箇所を調整できます。
サイズマップの項目に、ラインを出したくない箇所のUVを黒く塗ったテクスチャを貼り付ければ、任意のエッジラインを出ないようにすることができます。
3.便利な機能
その他、便利なラインの機能を2つご紹介します。
機能①:デフォルトの設定だと、オブジェクトの位置に関係なくラインの太さは一定なので、オブジェクトがカメラから遠く離れた場合、ラインでディティールが黒く潰れてしまいます。
しかし、ラインのアトリビュートの一番下、「サイズの縮小」のチェックをONにすると、カメラからの距離に応じて、ラインを徐々に細くすることができます。
※「サイズの縮小」の設定に入れば、縮小が始まる距離や縮小具合も細かく調整することができます。
機能②:半透明な物(ガラス等)を通して見えているオブジェクトなど、別のオブジェクトで遮蔽されている物のラインは「隠線」という扱いになり、そのままではレンダリングできません。その場合の設定方法をご紹介します。
ロボットのバイザー部分に別のPencilマテリアルをアサインし、「透明度」を下げて半透明にしました。
これだけだとオブジェクトが透けるだけで、透けたオブジェクトのラインはレンダリングされません。
次に半透明にしたマテリアルの「ライン関連機能」という項目に入ります。
「ライン関連機能」の下の方、「エッジ検出設定」に移動します。
こちらの「すべての隠線を可視線として描画」をONにすれば、このオブジェクトが遮蔽している物のラインは全てレンダリングされるようになります。
もしくは、「対象の隠線を可視線として描画」にチェックを入れて、オブジェクトかマテリアルを登録すれば、登録した物のラインだけ透けるようにすることができます。
ラインの設定は以上になります。
まとめ
Pencil+の基本的な使用方法を記載させていただきましたので、こちらを読めば、とりあえずPencil+4 for MAYAをすぐにご使用いただけるかと思います。
Pencil+は非常に多機能な為、他にも様々な表現が可能です。また機会がありましたら、応用編を書かせていただきたいと思います。ご覧いただきありがとうございました。