執筆者: S.I
はじめに
はじめまして。デザイナーのS.Iと申します。主に背景制作の業務を行っております。
以前はアニメ業界でロボットデザインなどを行ってたこともあります。
今回は、ロボットのデザイン作例を通してデザインのおこし方を説明いたします。
注: 大まかな流れの説明ですので清書はしておりません。
大きさ、対比を決める
ここでは、架空の企画としてロボット物のアニメ作品とします。
以下の条件から開始します。
全高20~30mくらい 人間フォルム
・A: 大柄
・B: 細身
・C: 中背
箱人形です。
ざっくりシルエットを決める
キーワードを増やしこれ等を踏まえ、シルエットを変更します。
A: 大柄、パワー、白兵格闘戦タイプ 男性的、怒り肩
B: 細身、スピード、高機動タイプ 足が長い、足が速そう
C: 中背、遠距離攻撃、索敵タイプ 女性的
差別化が図られました。
キャラクター性を上げる
それぞれのキャラクター性を増すため、さらに条件を足します。
A: 大型、パワー、白兵格闘戦タイプ 男性的、怒り肩
ヒーローロボ、レスラーぽい体形や衣装をイメージしたディティール 必殺技は手刀、飛び蹴りなど
殴ったときに痛そうな大きくごつい手 力強さを出すためやや角ばったフォルム
B: スピード、高機動タイプ 細身、足が長い、足が速そう
剣士、レイピア的な細身の剣、空力のよさそうな滑らかなフォルム
高機動のためのバーニア、カナードなどの小翼、甲冑的な意匠
C, 遠距離攻撃、索敵タイプ 女性的、小柄、大きめのレーダー
弓や、チャクラムに合体変形するバックパック、ハイヒール的な足
だいぶシルエットが固まってきました。
バックパックや、付属パーツを足して完成
塗りつぶしてみる
清書に入る前に、重要なテストをします。
図のようにそれぞれの機体を塗りつぶし見比べてみましょう。
塗りつぶした状態でも、シルエットがわかる。差別化が図られている
ということを確認します。
色分け
ざっくりと色を塗り分けてみます。
大体3色+差し色1色くらいで取りあえずは成立すると思います。
正面図でプロポーションと大まかなデザインラインが決まったら、パースビューで描いていきます。
パースビューと正面図を行ったり来たりしながら詳細をつめていきます。
まとめ
ロボットに限らずデザインをおこす際は、作品の世界観にあった詳細な設定を考えることが大切だと思います。(その際に、関連するリファレンスを集める。)
そうすることで、物の形やディティールに説得力が生まれます。
デザインがすぐ浮かばないときは、取りあえずキーワードを並べ、それに関連するリファレンスを集めることから始めると、アイデアが浮かびやすいと思います。
以上、ロボットのデザインを起こす作例を紹介いたしました。
ご覧いただきまして、ありがとうございました。
参考書籍
- スタジオ・ハードMX,『スーパーロボット画報』.初版.竹書房.1997年