執筆: H.T
はじめに
ORENDAにて、アニメーション業務しているH.Tと申します。
ORENDAはモーションキャプチャーのスタジオを所有しており、収録や配信などを行っています。
今回は当スタジオでモーションキャプチャーの撮影を行う際の簡単なフローについてまとめました。
撮影環境
ORENDAではOptiTrack Motiveというソフトを使用し、カメラを使ってマーカーの位置をトラッキングする光学式で撮影を行います。
光学式は他の方式と比べて位置精度が非常に高いため、ハリウッド映画のCG制作など要求の高い現場で多く活用されている方式です。
撮影フロー
収録セットアップ
はじめにMotiveを起動し、撮影空間に反射物があるかを確認します。
撮影は反射マーカーを使用して行うため、カメラに反射物が映り込んでいる場合は取り除きます。
例えばペットボトル、ネームプレートのプラスチック素材の反射などにカメラが反応することがあるので、そういうものは隠して撮影を行います。
(反射物はMotive上で白く映る)
カメラに反射物が映り、それがどうしても避けられないものであれば、Motive上でマスクを掛けたり、
物理的に黒い布をかぶせて隠すこともあります。
ワンドキャリブレーション
キャリブレーションとは、各カメラの相対位置を決めるために行う作業です。
反射マーカーが着いたワンドを空間内で上下左右に振り回すことで、各カメラの相対位置が自動で調整され、
空間が認識されます。
多方面から多角形を描くようにワンドを振ります。各カメラの全体を満遍なく埋めることが重要です。
(ワンドを振ると、Motive上でマーカーがどこを通ったのか、軌道が表示される)
Motive3.0からはカメラを囲むLEDライトが全て緑に点灯すれば、そのカメラのキャリブレーションは完了と言われています。
認識されてない部分はLEDライトが青く点灯しています。
フロアキャリブレーション
空間を認識させた後は、空間の原点とXYZ軸を認識させます。
原点位置とする場所に、反射マーカーが付いたグランドプレーンを置きます。
また収録エリアの地面の水平さを補正するために、弊社ではグランドプレーンを囲むような形で補助マーカーを8個設置します。
(グランドプレーン)
これでMotive上の結果が良好であればキャリブレーション作業は終わりです。
アクタースケルトンの作成
続いてアクターさんにマーカーを付けます。
付けるマーカーの数は54個です。(3.0で数変わったので要確認)
綺麗なモーションを撮るためには、いかに決められた位置にマーカーを付けられるかが重要になります。
(スケルトンの周りにある点が認識されたマーカーの位置)
アクターさんにマーカーを付けた後、Motive内でマーカー数が一致してるかを確認し、スケルトンを作成します。
もし作成されたスケルトンが歪な形になっていたら、マーカーの設置個所がズレている可能性があるので、再度マーカーを付け直し、スケルトンを作成する必要があります。
キャプチャー
あとは画面を切り替えてキャプチャー操作画面で「撮影」「停止」ボタンの操作をするだけです。
表示させたいキャラクターのモデルデータを使用してモーションキャプチャーの撮影をしたい場合は、MotiveとMotionBuilderを連動する必要があります。
最後に
2021年10月からは当スタジオでもMotiveの最新バージョンに移行しました。
最新バージョンに合わせて環境を整え、ハンドキャプチャーに対応したVR用グローブ「Manus Prime X」も導入し、撮影の精度は更に上がっています。
Motive 3.0 の機能強化ダイジェスト(YouTube)
興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。
以上、簡単ではありますが、撮影フロ-を紹介させていただきました。
ご拝読ありがとうございました。
参考、引用元サイト
関連サイト
- OptiTrack(アキュイティー株式会社様)
- Maya関連記事(ORENDA技術ブログ)