執筆: T.M.

はじめに

こんにちは。ORENDAで主にキャラクターモデリングを担当しているT.M.と申します。

以前Pencil+ for MAYAに関する記事を書かせていただきました。

Pencil+4 for MAYAでアニメ調のセルシェーディングを試そう①

今回はテーマを変えて、私が自主制作で作成した、オリジナルメカのモデリングに関してお話したいと思います。

今回は技術的なことではなく、自主制作でオリジナルの物をモデリングする際の工程について書きたいと思いますので、メカ以外のモデリングにも通じる物があるかと思います。

是非メカに興味ある方も、無い方も読んでいただけたら幸いです。

①コンセプトを考える

メカに限らず、キャラクターでもクリーチャーでも、オリジナルの物を作る際には、

まずどのようなものを作るか、そのコンセプトを最初に細かく決めておくと、後々の作業で迷うことが少なくなります。

以下、私が考えたオリジナルメカのコンセプトです。

  1. 人が乗り込む二足歩行メカ
  2. 逆関節脚(鳥脚)
  3. 近未来(十数年~数十年後に実在してそうな)兵器
  4. 大きさは4m前後

◆設定

市街地や不整地での戦闘用に、アメリカで開発された二足歩行戦車。

米軍や民間軍事会社によって、紛争地域等で運用されている。

当初は有人機として開発されていたが、操縦者の安全性を考慮すると機体が大型化してしまう為、無人機として再設計された。

無線による遠隔操縦とAIによる自立行動が可能。

緊急用のオプションとして、中央ブロックを換装すれば有人機としても一応運用できる。

ただし操縦席は非常に狭く居住性は劣悪であり、大柄な人間はそもそも乗り込むことができない。

オリジナルの創作活動は、この設定をあれこれ考える時間が一番楽しいと思います。

恥ずかしがらずに、大いにカッコいい設定を考えましょう!

さて、ではこのコンセプトを元に、ラフデザイン画を描きます。

自分でデザインもモデリングもするわけですから、いきなりモデリングをしてもいいのですが、文字で起こしたコンセプトと同じく、いったん絵でデザインをある程度固めておいた方が、モデリングしながらデザインを考えるよりも、作業がスムーズになります。

②ラフモデルの作成

デザイン画を描いたら、それを元にラフモデルを起こします。

この段階で、シルエットやバランスをFIXさせておきましょう。

理由としては、細部を作りこんでから大きくバランスを変えるのは大変で、

場合によっては作業工程を戻さなくてはいけなくなる為です。

また自主制作においては、ある程度作りこんでから「やっぱり違う」となった場合、

やる気が削がれ、そもそも作品自体が完成しない恐れがあります。

(恐らく身に覚えがある方、大勢いらっしゃるのではないでしょうか。)

その為にも、できるだけ「戻り」の作業が無いよう、作業の順番をよく考えてから実作業に取り掛かりましょう。

③ディティールを作りこむ

全体のバランスを決めたら、個々のパーツを作り込んでいきます。

この段階で、ラフイラストから細部のデザインを若干変更しました。

一番大きな変更は、右肩の主砲をレールガンから通常の火砲にしたことです。

当初こんな上体の大きい兵器で大砲を撃ったらひっくり返ってしまうだろうと思い、

反動の無いレールガンにしたのですが、よくよく調べると「レールガンに反動が無い」というのはよくある勘違いだったようで、見た目もややSF感が強くなりすぎる為、火薬式のキャノン砲にしました。

自主制作ですので、別に科学や物理法則に反していてもいいわけですが、ある程度の理屈に則っておいた方が説得力が生まれ、作品の魅力になります。

機首の機関砲もデザイン画ではチェーンガンでしたが、ガトリングガンに変更しました。

これは以前趣味でモデリングした戦闘ヘリ「AH-1Z ヴァイパー」の物を流用した為です。

こういったパーツの使いまわしがし易いのは、メカモデルの良い所ですね。

④完成

ディティールができたら再度全体を見直し、細部を詰めれば完成です。

色を付けたりテクスチャを描く等、見栄えを良くして存分に眺めまわしましょう。

人に見せたり、SNSにアップするのも良いですね。

まとめ

以上、私の自主制作モデリングでの、アイデア出しからモデル完成までの流れをお話しさせていただきました。

ものすごく短くまとめると、「常に後々の工程を気にしながら作業しましょう」という感じでしょうか。

そしてこれは、自主制作だけでなく、業務での作業にも当てはまることかと思います。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

関連リンク