執筆者 I.Y.
はじめに
株式会社ORENDAでは、3D/2Dモーショングラフィックス等を業務の主として担当しています。
今回は『モーショングラフィックス』というカテゴリがどのような役割と活用をしているかについてお話しします。
この記事の内容
具体的な内容へと移る前に、モーショングラフィックスというものについて本文では『〇〇〇』が変化するというイメージを重要なものとします。
1.『モーショングラフィックス』は動くだけではない
普段日常で視聴されているデバイスでは多くの『要素』が変化しています。この要素は
『写真』『イラスト』『テキスト』『図形』またそこに音を合わせた映像表現がモーショングラフィックスです。
文字の直訳として単に位置を移動することも含みますが、『色』『形状』『可視度合』等々の変化も含みます。モーショングラフィックスは様々な変化を重視し、動き自体や静止したシーンでのデザイン性を含めた映像表現の手段として用います。
2. 『モーショングラフィックス』を何に使うか
では、情報を持った絵や文字その他効果といったものが『変化』させてどのような場面で活用されているかお話します。
モーショングラフィックスは主に映像媒体であれば、その役割の大小に沿って活用されています。その中でも特徴的な例として以下の場面で広く活用されています。
・企業または製品サービスの(放送/WEB等を含めた)プロモーション
・ミュージックビデオやコンサートの背景映像
・駅や空港、ショッピングモールといった公共空間内での案内表示など
上記以外の場面やコンテンツでも表現として並立することができます。
このようにモーショングラフィックスでは、直感的で視聴する人に対して興味を持ってもらうことや意図した主張や世界観について親しんでもらうといった効果があります。
モーショングラフィックスを使ってみる
では、実際にモーショングラフィックスの実例を示します。注釈として今回は具体的な制作方法が主題ではありません。実例からモーショングラフィックスがどのような効能があるかについて示します。
下記に記載しているソフトウェアを使用します。制作の内容によっては他ソフトウェアも用いりますが、今回は下記ソフトで完結させています。
・Adobe CC AfterEffects
モーショングラフィックスで今回私の『自己紹介』を主題にし、これをモーショングラフィックスで表現してみます。
ファイル名『ikeda_MG_720_1280』添付位置
様々な場面での制作手順について、それに伴った状況や必要に応じて多様な制作手順があります。今回の実例では最小構成で表現することを副題にします。以下制作の流れをまとめます。
【手順】
主題
・自己紹介
副題
・最小構成を意識したモーショングラフィックスによる表現
伝えたい情報をまとめます。
(主題の要素)
・自分の名前(ふりがな/ローマ字表記)
・役職名
・所属部署
・会社名
文字にすると4項目の情報となります。この点に関しては視聴する人に確実に視認して頂けるよう意識します。
どう表現するかまとめます。
(副題の要素)『最小構成』
・フォーマル
・変化の余裕
・目線動態
副題について各種説明をします。
・フォーマル
自己紹介という主題であったため、名刺のやり取りをイメージしました。そこからフォーマルさを中心に白を基調としました。
【実例内におけるフォーマル】
フォーマルなアイテムの象徴として名刺をもとにして表現しました。フォーマルという単語から規格的、また最少性という連想を実際の絵として下記画像(MG_001参照)のデザインを基盤としました。
(MG_001)
・動きの余裕
前項のフォーマルのイメージから明滅や動きの変化を激しくさせず、変化自体に余裕をもたせモーショングラフィクス内のリズムを作ります。
【実例内における動きの余裕】
縦横の動きを単に素早く動かすというのではなく、曲線的な挙動の中にメリハリをつけています。これにより文字の情報のみならず、動きにキャラクター性を与え、表現性の幅を広げています。(MG_002参照)加えて、可視性の変化や、文字のレイアウトをシーンごとに変化させモーショングラフィックス全体のリズムを厚くさせています。また文字以外に絵や図形も同様です。(MG_003参照)
(MG_002)
(MG_003)
・目線動態
変化に余裕を持たせたことで、目線の置き方や流れを意識します。
【実例内における動きの余裕】
文字単体を中央に近い位置に置くことで、最初に見せたい情報に視線を誘導させます。(MG_004参照)今回はシーンを重ねるごとに主題の情報量が付け加えられていくので、視線を見やすい位置に誘導する、または見せる順序を設計することを意識しました。
(MG_005参照)このことによって視認性の向上と、モーショングラフィックス内でのデザインや情報のまとまりがとれます。最後のシーンで『株式会社ORENDA』のイメージカラーを差し色とし、強調と目線を誘導させつつ終了します。(MG_006参照)
(MG_004)
(MG_005)
(MG_006)
完成品
まとめ
今回はモーショングラフィックスの概要について説明させていただきました。その性質から様々な用途や必要に応じてモーショングラフィックスは活用されています。モーショングラフィックスについて知って頂けたら幸いです。